言の葉通信
Oh my got!!
36℃を超える猛暑日の昼下がり。「言の葉の森」を訪れたのは二人の外国の女性。自転車で来られたので、わりと近くにお住まいなのでしょう。お二人とも日本語がとってもお上手だったので、ホッと胸をなで下ろした次第…。
で、思った。ここには、日本人向けの本しかない。だって、私が読んだ本ばかりだから。
塾生には小学生もいるので、最近は小学生向けの本も増やしつつあるのだが、外国人向けは想定外だった…。英文の本は、私にはとてもとても読むことはできないけれど…、蔵書を見直してみようと思った。ちょっとだけ、グローバルな「言の葉の森」を目指してみることにしよう。
なんだかワクワクしてきた、暑い夏の昼下がりであった。
わかることは楽しい
1対1での塾生との国語の勉強はとっても楽しい。私自身も「国語」が本当に好きなんだなと、改めて実感する日々。もちろん、私だけでなく、「言の葉の森」で学ぶ子ども達にも、国語の勉強って楽しいなと感じてほしいと思う。
一番楽しいと思うのは、ダイレクトに「わかった」「わからない」の思いが届いてくること。学校での授業だと、そこがいつも不安だった。わかってくれているのかどうかがわからなくて、不安だから、ここは大事!というところを繰り返し繰り返し伝えていた。それが1対1だと、まっすぐに伝わってくるのだ。顔半分がマスクで隠れていても、「わかった」ときの瞳は輝きを増す。
また、学校の授業ではもしかしたらひと言もしゃべらずに一時間が終わることもあるだろうが、ここでは自分の思ったことをしゃべりながら進めている。最初は曖昧だったことが、しゃべることで、言葉に発することで考えがまとまっていくのが実感できる。
そうして、「わかった」が積み重なって、子ども達の自信に繋がっていってくれるなら、「言の葉の森」にも新しい価値が生まれる気がする。
ちょっとした時間にでも…
少しずつ問い合せ電話をいただくようになり、少しずつ国語を学びたいと入塾する生徒も決まってきて、新しいお仕事(人生)が動き出したなぁと実感する日々。新しい人との繋がりにも喜びを感じる。
フリースペースとして勉強や読書ができる場所も併設しているが、意外に、大学生や社会人の方に利用していただいている。意外に…というのは、もともと高校生に多く利用してもらえたらと考えていたからである。
いわゆる「起業」を考えるようになったのは、12年ほど前に遡る。会議などで出かけた先々で、高校生になった教え子たちが勉強している姿を見かけるようになったことがきっかけだった。図書館で、とかちプラザで、駅構内で、スーパーの一角で… 下校後、家に帰る前に勉強できる場所を求めていることを知り、自習室のような場所があればいいのにと思ったのが最初だった。そんな場所を作ってあげられたらと。
同時期、常に5~7学級という多人数に国語の授業をする中で、限界を覚え始めてもいた。もっと一人一人に丁寧に教えたいと思うようになっていた。
そうして第2の仕事について真剣に考え始め、計画し、準備を進め、開業に至る。
ずっと中学生ばかりを見てきた教員生活だったからか、そこを巣立った高校生が気になってしまう。バスの待ち時間、親の迎えの待ち時間、ちょっと勉強して帰ろうかなと思ったときに「言の葉の森」に立ち寄ってもらえたら、この上なく嬉しい。
読書で「涙活」!?
本を読んで涙腺が緩むことは以前からあった。ドラマや映画を観ていても然り。それにしても、最近、特に涙もろくなったなぁと感じる。
たとえば朝ドラ「おかえりモネ」で…… ガンを患う写真家の田中さんが、送られてきた孫の写真を眺め、誰が撮ったんだか下手くそな写真だとけなし、「俺が最高の一枚を撮ってやるってんだ、もう…」と言っている姿に涙がポロッ…。こんな調子だから、いかにも涙を誘うような場面があったなら、気づけば嗚咽。我ながら、おいっ、ここでかよ!!と突っ込みたくなる。
現在私が読んでいる本は、乃南アサ『六月の雪』。日本の植民地であった時代の台湾で過ごしていた祖母の足跡を辿る孫娘の旅を描いているのだが、当然台湾の歴史等も描かれていて、これがまた涙を誘うのだ。
私が本を読むのはいつも寝る前、ベッドに入ったあと。『六月の雪』を読み始めてからは、ダメだ、これ以上寝る前に泣いてられない…と思って本を閉じることが多い。そうして朝まで爆睡…。
ところが、これがとても良いらしいのだ。寝る前に泣くと、自律神経が整い、リラックスして快眠できるとか。これを「涙活(るいかつ)」と言い、心のデトックス効果が抜群なのだそうだ。
確かに、思いっきり泣いた後はスッキリする。
寝付けない夜は、泣ける本を読むことにしよう!
ツバキ文具店
鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙……。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。
メールやSNSといった電子ツールで気軽に連絡を取ることができる今の時代。便利だけれど何か物足りない。
「代書屋」に舞い込んださまざまな代筆依頼を請け負う鳩子の仕事の丁寧さには、まさに「和」の心を感じる。その人に適した手紙を仕上げるのに、万年筆で書くのかボールペンで書くのか、その筆の太さ、インクの色、便箋の紙質、封筒の色合い、切手のデザイン、書体… 電子ツールではここまでできない。その手紙がたとえ絶縁状であっても、間違いなく「心」が伝わる。
代書の描写の丁寧さだけでなく、鳩子の暮らしぶりも丁寧で… 鎌倉の雰囲気も心地よい。近所の方々との交流も温かい。人々の心が通った生活。私もこんな丁寧な暮らしがしたいと思った。
メールではなくて、大切な人に心を込めて手紙を書きたくなる、そんな作品です。