言の葉通信

2024-09-20 13:32:00

中3学テ総合A出題問題より 「安養の尼上の小袖」

 中学3年生の皆さんは、いよいよ進路選択について真剣に取り組む時期に入りましたね。 そして、3カ月連続の学力テストに、すでにげんなりしているのかも…。

 

 さて、9月に入って行われた総合Aは、基本をしっかり押さえた内容でした。

 その中から、今後は毎回取り組むことになる古文について、触れていこうと思います。

 

 今回の古文では、鎌倉時代中期の教訓説話集「十訓抄(じっきんしょう)」(編者未詳)が取り上げられました。注釈などを頼りにすれば何となくストーリーができたのではと思うのですが、なかなか難解だったようで… つまずいてしまった人も多かったようです。

 

 そこで、「十訓抄」からの出題文、「安養の尼上の小袖」を改めて紹介しましょう。

 

 横川の恵心僧都の妹である、安養の尼上の所に強盗が入り、そこにあった物がすべて盗まれてしまったので、尼上は和紙で出来た布団を1枚、頭からかぶって座っていました。そこに、(尼上の妹の)小尼上が駆けつけ、強盗が落として行った小袖が落ちているのを見つけました。それを拾って、「これを落としてございます。お召ください。」と尼上に渡そうとしたが、尼上は、「それは強盗が盗んだ物なのだから、この小袖はすでに強盗の物。彼らが自分の物と思っている物を、私が着ることはできません。追いかけていって返してあげなさい。」と言います。小尼上は門の方へ走り出て強盗を呼び止めます。「落ちていたので差し上げます。」と強盗に差し出すと、強盗は立ち止まって考え込み、「とんでもない所に盗みに入ってしまった。」と言って、盗んだ物をすべて返して去って行ったということです。

 

 横川(よかわ)という地名や、安養といった語句に難しさはあるでしょうが、今回の読解にはさほど影響もないので、おおまかなストーリーが理解できれば合格です。古文を読む際には、登場人物はだれか、このセリフや行動は誰のものか、という2点を押さえることが最も大切です。次のテストでの参考にしてみてください。